店主より
四月春爛漫、良い季節です。
今年は例年より桜も早咲きで、季節の前倒し感が強いですね。
私はその昔、日本酒にまだ特級、一級、と級別制度があったころ、永いこと東京国税局の級別審査委員を拝命していました。級別審査会は新酒のできる、二月三月は続けて開催され、東京国税局の鑑定官室の先生方や卸組合代表等、15名程のメンバーが良否を暗番で審査投票し、評価したものです。冬の間にどの蔵も良いものを造ろうと取り組んできたことは百も承知しておりますから、こちらも必死で日本酒の味を次世代に引き継ぐ為に尽力したのを懐かしく思い出します。
審査会が終わり四月になると蔵人も全酒造りを終了し帰省となります。
晩秋から蔵人の生活全般を用意し、酒造りに全神経を注いでいた150日が春の訪れと共に終了します。新酒のタンクが立ち並んび、ひんやりと静まり返った蔵に芳醇な香りがただよい、家族だけの生活に戻った時、言葉には言い表せないような安堵感や達成感がありました。小さい蔵だから味わえる感傷でしょうか?
桑乃都、小澤酒造場 店主
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