店主より
4月上旬、約半年間の仕込みが終わると蔵人は帰省し、蔵の中はヒッソリ寂、瓶詰場と店舗、私達が生活する母屋以外は静かに酒が熟成する為の眠りにつきます。
夏人(昔は、蔵人が冬期のみの雇用だったためか、通年雇用の社員をこんな風に呼んでいました)が働くのみで、心もホッとした気分になるものです。
この時期、暫くの間は毎朝蔵の中のタンク(酒が入った貯蔵桶)の呑み口を見て廻ります。万一呑み口が緩んで酒が微量でも漏れていては困るので一つ一つ見て廻るのです。
100年も前迄は本火(出来上がった生酒を殺菌し雑菌はもとより麹菌、酵母菌を死滅させる作業)を入れて貯蔵をしました。蔵の中全体を保温する為、蔵の戸も閉めた状態にしていたようです。
時が進み50年程の間に逆に本火を入れたらできるだけ早く冷ます方が酒質劣化が防げるとの技術指導がなされる様になりました。勿論、蔵も開放し通風を良くする策が取られ、夏場は蔵に入るとひんやりと感じたものです。
桑乃都 小澤酒造場 店主
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