店主より

『口噛み酒』について
 ゆっくりご飯を噛んでいると、段々と甘みが感じられます。これは唾液中の糖化酵素がデキストリンを分解し糖に変化しているからです。この「糖」の香に誘われて空気中に浮遊している野生酵母が付着してアルコール発酵を起こすのです。つまり酒ができる訳で、これが「口噛み酒」です。
 縄文時代以前の旧石器時代には既にデンプンを作り出す技術があったようですから話は古いですね。「口噛み酒」は東アジアを初め環太平洋地域全域にその痕跡があり広範囲に渡って、この方式の酒が造られていたのであります。
原料としては東アジアは米類が多く、台湾や沖縄は栗🌰稗、時にトウモロコシ等が使われたとか?中南米はトウモロコシ🌽、チリは小麦といった具合です。作り方は噛んで唾液共々壷🏺の中に吐出せば良いだけのことですから、ごく簡単で、地域によって澱粉を噛む人が男、女、処女、美女、老女などと分別されていたとか…
8世紀ころの大隅国風土記とか10世紀中国南部の閩書(ビンショ)等に記されているそうです。ただ噛んで唾液ごと壷の中に入れる訳ですが、「歯は疲れ口は荒れ顎は痛む」等々、その作業は大変な苦を伴なってのことであった様で常々勝手に作るものではなかったようです。
続きは次回に…  
桑乃都  店主




小澤酒造場

1926年より八王子の地酒を造っております。

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