店主より
今年は例年にない早い梅雨明けとなりました。
この時季、6月後半には、造り酒屋の年中行事の1つ『初呑切』があります。
3月まで新酒造り、4月上旬迄に火入れ(生の新酒を加熱殺菌し1年間保管できるように貯蔵=夏囲いといいます)します。火入れ後2ヶ月経過した6月後半に、酒の状態を検査し熟成具合を調べます。6000㍑〜10000㍑程のタンクから、ほんの少量酒を出します。呑み口から酒が出るその瞬間の香りがとても大切で、杜氏や頭(かしら=杜氏の補佐役)などと、静かな蔵のヒンヤリとした空気感の中で皆が五感を張り巡らせ、今年はどんな出来か?「香り」を嗅ぎ、出した酒を利猪口に入れ香味、熟成を判断します。
万一、劣化が進んだり、日本酒として好まない香りがしたら直ちに再火入れとなります。私は一度も経験したことはありませんが、一大事です。
全てのタンクの呑み口を切り、酒の出来具合を確認する、この作業をこの時季に初めてするので『初呑切』といい、大変重要な仕事です。酒造関係の技術者、杜氏、頭、等が、その任に当たり、来春迄の販売酒の一応の出荷順位等も考えます。呑み切りが滞りなく終わりますと、7.8月は熟成の時季で蔵は静かに眠りにつきます。
9月に『2番呑切』を行う蔵も沢山あります。
桑乃都 小澤酒造、店主
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